子どもの貧困と自立支援 [学習会]

6月15日(月)

生活保護家庭の子ども

昨日、浦和で行われた「子供の貧困」につての学習会に参加してきました。貧困の中に居る子どもの学習環境は極めて悪いとは方々で言われていることではありますが、見えない、見えにくいというのがあります。あらためて考えさせられました。

ほとんど進学する時代に

今、大学・専門学校への進学率は80%だそうです。不況とはいえ、子どもの教育費の優先度は高いといえます。それどころか、希望する職場がない、あるいは入れないという理由で大学院に残り、次のチャンスを待つ、という子ども(子どもというのか・・・)もいます。

だけど、貧困家庭の子どもは30%だそうです。大学4年間では800万円くらいはかかる。困窮して生活保護を受給している家庭ではこの学費を出せるわけがない。(世帯分離すればいけないこともないのですが)

さらに、児童養護施設の子どもの進学率は20%だそうで、埼玉県は、もっと下がって13.9%でしかない。

なぜ、行けないか。親に経済力がない。つまり、学力、進学率が、親の経済力で決まってしまう。

昨日の講師の、大山典宏氏は、県の職員であり、社会福祉士ですが、埼玉県の生活保護家庭の子どもの進学率を上げたいと、奮闘しています。

生活保護200万人時代の処方箋

生活保護とは、生活扶助、住宅扶助、医療扶助、教育扶助のほか、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の、計8種類があります。こういった助けをフルに使って、生活をフルセットで支える、のだという。

生活保護受給者は、このところ年々増えて、2014年12月には、217万0161人となっています。増えた原因は、〇景気の悪化 〇高齢者の低年金、無年金 〇生活保護申請への〝ためらい”が薄れた ことが上げられます。そこから生まれる問題点としては、△不正受給 △ワーキングプア(つまり、働いても働いても、生活保護以下の収入) △相談できるケースワーカーの不足 などが上げられるといいます。

しかし、今と同じくらい生活保護世帯(者)がいた時代もありました。戦後すぐの頃です。今より人口が少なかったので、割合としては、今よりずっと多かったといえます。しかも、今より申請することのためらいはずっと大きかった時代です。

生活保護受給者は、なだらかに減り続け、一番少なくなったのが、平成5~7年ころ。その後、急上昇しています。

全体に増えてはいますが、高齢化が進み高齢者世帯の需給が全体の半分を占め、H19年と比べてH26年度は1.5倍に増えているのは自然増でしょうが、若い世代の増加はH19年度と比べて、H26年度は、2.7倍ほどになっているのが目立ちます。これは、働きたくても働き場がない、という現状があります。

今は〈適正化〉モデルばかり

増え続ける生活保護費に、行政側は「適正化モデル」を主に言うようになりました。よくあげられる言葉に●納税者目線(税金で賄っているんだ)、●濫給(不必要な給付)はないか、●真に必要な人に ●国民の理解が得られない ●財政規律→聖域なき構造改革 ●自助、共助 が大事ですよ と。

人権モデル

これに対して弁護士連合会などは、人権モデルの立場をとる。すなわち、あげられる言葉は、●社会構造(政府)の責任がある ●適正化を上げる行政に対し、自分の意志で受給をやめた(やめさせられた)人たち→北九州市の困窮・孤独死事件 ●漏給(保護から漏れる)、きびしい就労指導 ●私たちの声を聴いてください  ●公助  (政治の責任)を強調

以上2つの考え方がある、と大山氏は言う。県職員の立場でありながら、一方づいた考え方を押し付けない。

どんなに頑張っても、中軽度の障害を持っている人、低学歴、無資格の人、人間関係が上手く築けないなど「就労弱者」から順次職を失っているのが現実だ。

きめ細かいケアが絶対必要だ、という。

財務省主計局は、生活保護利用者は過去最高、生活保護費は引き下げるべき、不正受給者は増加傾向にある、などといい、世の中は(得している)のじゃないかと疑義を持つ。そして、人々の多くは、「公平な世の中」を強調し、不正受給はないかと目を光らせる。

しかし、不正受給の割合は、全体の0.4%で変化はない。全部が悪質というわけではない。働く場所、働ける条件が厳しく、意欲があっても働ける土台が無くなっている、と大山氏は理解を示し、一生懸命対応している。

親の経済力が子供の学力に影響

こういった悪循環の中から、突然変異的に、大秀才、偉大な成功者が出ること、今の時代にあってはかなり難しい。

親の経済力が子供の学力、教育環境を悪くしているのは明らかです。

学校にも満足にけない子どもは、小学校3、4年の学力から上に行くほどついて行けなくなる。本人の責任じゃない。

学力(支援)教室

こういった、学校に行けなくなった子どもたちに勉強を教える無料の支援塾があちこちにできています。

そこで、また、問題が生じている。1年、2年生程度しかわからない子どもたちに、わかるところまで戻って付き合ってあげることによって子ども本来の「勉強が面白い」がでてくる。やっと勉強の面白さがわかってきたところで、3、4あるいは5、6年生の勉強がわかっている子どもたちが混じってくる(公平だから、これはこれでわかるが)と、やっとわかってきた子どもたちは、ついて行けなくなり、学習意欲が急速にそがれる。

よくわかる。本当に、これはよくわかる。日本社会が、(経済も学力も)平均以上の子どもたちに焦点を当て、環境を整えてあげようとしている風潮の中、全体の底上げができなければ、悪循環は変わらない。本当の意味で日本のレベルアップはできないのだ。

学習(支援)教室

それでも、県内には、現在31か所ほどの「学習教室」があるそうです。しかし、県東部には越谷市、春日部市にしかなく、川口市、さいたま市、などのように何か所もある自治体、地域は少ない。調査もしていないのではないだろうか。


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