高校生に自衛官募集のDM

11月5日(水)

国×地方

今日は終日、衆議院議員会館で、「自治体議員政策情報センター」の「国×地方」研究会。大変面白く、収穫の多い一日でした。まず、直近の12月議会で使えそうなものから、27年度予算で参考になるものまでヒントがいっぱい。

その中の一つ、「高校生に対する自衛官等募集ダイレクトメール送付および住民基本台帳情報利用」についてお伝えしたい。

これは、阿部知子衆議院議員が提出した質問主意書と、それに対する政府の答弁書(全文)。これにより、あらためて、自治体の≪自衛隊法≫への協力具合がわかったものです。

何故、自衛隊が

何故、自衛隊が、市町村の適齢者(高校3年生)の名簿を保有しているのか。

これは、市町村による適齢者情報の提供、または、自衛隊地方協力本部による住民基本台帳の一部写しの閲覧を通じて、(自衛隊側が)適法に入手できた個人情報であることが分かった。

実は、個人情報保護法案が審議、成立した2003年、自衛隊による適齢者情報収集が大きな問題となり、その後、「適正化」がはかられたのであります。自衛隊法の解釈による「適正化」です。

住民基本台帳法の趣旨に照らせば、市町村による適齢者名簿の提供や閲覧は、条文解釈に疑義が残り、住民の個人情報を預かる市町村の姿勢も問われるところである。ところが自衛隊法だとOKなのです。

全国の自衛隊地方本部でDM発送

この個人情報の提供および閲覧による写しで、入手した適齢者情報(高校3年生、中学3年生も)をもとに、全国に50ある自衛隊地方本部は、〈自衛官募集〉のダイレクトメールを発送した。

中学生にDMを発送しているが、阿部氏の質問に対して、政府答弁は「中学生に対する個別の募集広報については、当該中学生の保護者、または当該中学生が就学する中学校の進路指導担当者を通じてのみ行うことができるとしていることから「文書による直接の募集が直近5年間において行われた例は承知していない」ということであった。

しかし、この質問主意書が出るまで、〈事務次官通達に反する中学生に対するDM発送がなされていた〉ことを把握していなかったことは問題である。

しかし、高校生に対するDM発送は≪合法≫なのであります。住基法によると、違法でありますが、自衛隊法では適法なのです。

自衛隊法でいえば、「自衛官および自衛官候補生の募集は、自衛隊の人的基盤を支えるとともに、組織の精強性を維持するという観点から極めて重要であり、地域社会と深いつながりを有する地方公共団体(市町村など)を通じて確実に行うことも必要不可欠であることから、当該募集は自衛隊法第97条の規定により都道府県知事および市町村の長がその事務の一部を行うこととしている」と言う〝くだり”である。

※これに対して、防衛大学校、防衛医科大学校の学生、また陸上自衛隊高等工科学校(中学を卒業して進学する)の生徒は教育訓練の実を受けるものであることから、その募集については防衛相が行うこととしている。

これに協力しているのが全国1742自治体のうち、1730自治体であり、個人情報の取り扱いであるからと拒否したのはたった12自治体であったという。

もう少し具体的に言うと、紙面で渡している自治体が1742自治体中565自治体、抽出して閲覧させているのが664自治体、閲覧させ写させ(コピーさせ)ているのが501自治体、住基台帳からの情報提供を拒否したのが12自治体という結果でありました。

中学校卒業生に対しての募集広報は「法」によればできないのでありますが、50の自衛隊地方本部のうち、20くらいで自治体に情報提供依頼があったというのです。これは法律違反です。

いずれにしても、自治体が、若い年代の個人情報をコントロールできないで、紙面で渡してしまうなんてのは、おそろしいことではないか。

DMが来た家庭では「赤紙が来た」というくらい不安があったという。

昨日おつたえした特定秘密保護法にしても、政府による圧倒的な秘密指定の中のかすかな抜け道の可能性を示したもの。反対に、自衛隊法による市町村の情報提供依頼への協力、国民の個人情報はいいようにコントロールされているといっていい。

※質問主意書…国会議員が国政について内閣に対する質問の趣旨を記して議長に提出する文書。議長からの送付を受けた内閣は原則として、7日以内に答弁書を作り、閣議決定して回答する。

質問主意書の多さでは、鈴木宗男氏がダントツでありました。1会期中130もの質問主意書を提出した。かつて外務族議員、あるいは「外務省通」であった鈴木氏ならではの、びにいり、細にいりの徹底した質問。

国民は、国会のテレビ中継での質問、答弁しかお目にかかる機会はないが、全く質問しない人あり、徹底した質問主意書提出の議員アリ。地元の式典、お祭りでしかお目にかからない国会議員がどのくらい国策通であるか、実はわかりにくいのかもしれない。


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