ブログ市長の卒業式祝辞

阿久根市の高校卒業式で

言動が個性的なだけに、この市長が本音で語る「卒業式祝辞」は心に刻まれるであろうことは確かです。3月1日、阿久根市長(竹原さん）の高校生への＜はなむけ＞を拾いました。

社会を丸ごと引き受ける覚悟を

　皆さんは、「仲間を作りなさい、増やしなさい、仲間との助け合いで身を立てる事もできる」と教わってきたと思います。お金を中心とする社会は、ほぼこの仕組みで動いています。　　　　　　　　　　　　　　　　　　その典型は政治の世界です。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　仲間を作るとき、しばしば起こるのが仲間以外の排除です。

外側を排除、あるいは利用しながら、その輪を広げていくことになります。少しだけ良心に背むき、少しだけ嘘を言い、次第に社会正義から離れるほどに結束を強め、高い地位に着く。

その結果、お金や報道を握る権力者のための政治を行うようになっていきます。この結果、裏の仕組みを知る勝ち組は、もっと大きな金持ちに、だまされやすいうえに臆病な人々は、ますます追い詰められていくのです。

これから社会にでる皆さんは、新参者です。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　このような考え方で勝ち組になることは非常に難しい。　　　　　　　ならばどうするか？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小さな仲間作りで自分達だけの身を立てようとするのでなく、一人一人が、｢丸ごと社会を引き受ける」という覚悟で生きていくことです。この覚悟をすれば、他人が言う嘘が判るようにもなります。「簡単に金儲けが出来る」などの詐欺にだまされることもないでしょう。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日々の努力が社会のためでもあるのを実感できる生き方が出来るならば、お金持ちにならなくても、それなりに充実した、自分をだまさない一生を過ごすことが出来、その生き様が、そのまま次の世代へのプレゼントになると思います。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　今日、鶴翔高校を卒業される皆さんが「社会を丸ごと引き受ける同士」になってくれることを期待して、はなむけの言葉と致します。

人間として対等に扱っている

私は、竹原さんの賛同者じゃーありません。ですが、　　　　　　　　＜いいな、この祝辞＞と思えるのは、高校生を対等に扱っている立ち位置です。同士として、＜後を託して＞もいます。　　　　　　　　　　　　　　これから社会人になる若者に「どうか、胸を張れる人生を歩いてくれ」「胸を張れるということは、地位やお金じゃないんだ」と語っています。

この祝辞には、前段の部分もあって、そこでは　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「わたしも、何が本当なのかわからないまま生きてきました。40歳を過ぎてからやっとわかってきました。自分も含めて、大人たちは建前ばかりで何もわかっていない、と。この感覚は、実は私が小学校3年生の時にはじめて感じたものと同じでした。その頃との違いは、社会の真実を見る目を得たことです。」

というのがあったのですが・・。

式典の時の祝辞や訓示で、多感な年頃の子供達の心に残るお話をすることが出来る人は、多分、ほんの少しだと思います。

多くの人は、自分が選ばれて、そこに立つことが目的であるかもしれません。

でも、人間は、多感な時期に心に残った「言葉」はそれ以後、その人の考え方や、行動に必ず影響していると思います。

授業でもそうです。歴史の授業でも、年表の中の歴史と、今につながっている人間ドラマとして残るのでは大いに違いがあると思います。特に近代の歴史を、同じ目線でしっかり伝えてほしいと思います。　鮮明に、その光景、時代背景が浮かぶ授業を持つことは大事です。

（例えば、私の場合、「大化の改新」の授業に、どういうわけか、電流が走りました。柱の影で蘇我入鹿を待ち伏せる中大兄皇子と藤原鎌足の姿が、いつまでも頭に残ったんです。歴史を変える瞬間の緊張感がありました。紙芝居の効果かな、と、人に笑われるんですが）

理科でも、国語でも、授業の中で、大人になっても心に残る一片があるか、無いか、ではないでしょうか？

祝辞も、訓示も、「はなむけ」というのは、相手（例えば高校生、例えば中学生）の将来を心から称え、頼りにすることだと思います。

少なくとも、「長かった～～」祝辞は残っていないのでしょう、多感な心に。

竹原市長というのは、ストレートな言葉を使いますが、全体に静かな話し方なんですね。だからすっと入ってくるのではないでしょうか。