非正規職員問題ー総務省2014通知を読み解く [行政]

10月5日(日)

職員問題

昨日は、午前中に福祉運動会を失礼して、午後は墨田区で行われた「臨時・非常勤職員」問題の学習会に出かけました。

自治体が、行財政改革の中、正規職員を減らして(実際は減らせない。採用を減らした)使い捨てともいえる非正規の職員を増やしている傾向はどこでも同じです。

総務省は、その目的でしかけたのに、あまりにも非正規が短期間で増えたのにあわてて、2014年改めて通知を出しました。昨日は、小難しいお役所文書を読み解いた学習会で、大変参考になりました。

5年間で非正規が15万人増えた

2005年調査のときは、臨時・非常勤職員が45万5840人、正規職員が304万2122人、非正規率(全職員に占める非正規職員)13%、8人に1人だった、のが↓

2012年調査で、非正規職員60万3582人、正規職員276万8913人、非正規率18%、5.5人に1人が非正規職員になりました。

2005年から2012年の5年間で15万人増えたのです。(増加率32%)

この現状に、総務省自体がびっくりし、新たな通知を出したわけです。

処遇は「天と地」ほどの差がありながら、今や自治体にとって臨時職員や非常勤職員は、無くてはならない働き手。

この間、地方自治体においては、最高裁判決などで、非常勤ながら正規職員と同じ仕事をやっている人の訴えを支持している判決が出ています。-資料から引用します。

〈参考 例ー「中津市常勤的非常勤職員退職手当請求事件」福岡高裁判決 2013・12・12〉・・・「中津川教育委員会が、控訴人を特別職として任用したのは、「地方公務員法の解釈を誤った任用であるから、そのことをもって、控訴人を特別職の職員であると認定することはできない」とし、控訴人は一般職の職員である(正規職員と同じ仕事をしていた)から、同市の退職手当条例が適用になるので、退職手当(1092万円)を支払うべきである。

以上のような判決が出た。総務省は危機感を持ちました。合法的に争議権を行使できる地方公務員が、多数の自治体で増えることになったということで。

つまり、特別職非常勤公務員は、地方公務員法の適用を受けないのでストライキもできるわけです。争議権を有する。合法的にストライキができる非正規職員が全国に25万人もいるということになりました。

また、行政には、(人事委員会)(公平委員会)といった職員の処遇を審査する機関があるのですが、紛争を公務員法制度の統治機関で処理することができないのです。これらの非正規職員は労働基準法の「労働委員会」の審査適用内になるわけです。

このように、正規の職員じゃないから「支払ったら違法だ」という解釈はおかしい、ということになった。

 これまでのように、役所の中に圧倒的に(お互い守りあえる)正規職員ばかりいたころと違い、新たな判例が出るようになったから総務省は、多少慌てたというところでしょうか。

 官僚の作った文章は、やたらと難しい。一人で読み解いていくと途中で放り投げるところですが、講師の先生がいると、けっこう頭に入ってきます。昨日は、大変面白く勉強できました。

今後どこの自治体でも

 宮代町だって、「子ども・子育て新制度」を進める中、特に保育士の処遇など、今後見直さなければならないと思います。

 公立保育園では、(先日決算委員会で加納の質問により)正規職員より臨時職員のほうが多いのがわかりました。黙っていても毎年1号ずつあがっていき、給料も上がってく正規職員と比べ、6ヵ月で更新・1年で終了→再任用ということを繰り返し、処遇が同じままという臨時職員の問題をそのままにしておくわけにもいかなくなるでしょう。

それでなくとも、これから保育士の囲い込みがあちこちの自治体で起こるようになると、かなり平均年齢が高くなり高額の給料が支払われる正規職員の保育士と、臨職で賃金の上がらない人たちの差が広がるばかり。これでは、頼りになる臨職保育士が離れてしまう可能性だってある。

ある自治体では、条例を作り、臨時職員に、10万円のボーナスを出した、とか、経験加算の仕組みを作ったというのもある。

宮代町、「子育て支援の町」を目指すなら、ここんところ、大事ですよ。


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