電子政府と電子自治体はちがう [学習会]

12月28日(土)

先進国・韓国の日常IT

昨日の、ヨムジョンスン氏の講演は実に面白かった。勉強になった。その果てに、ちょっと途方に暮れた。私は、わが町は、日本は、はたしてITをこなしてゆけるだろうか、と。

前例踏襲主義、成熟社会、事なかれ主義の日本、なんだかんだ言っても世界から見れば(しあわせぼけ)それほど暮らしにくいわけでもない。

本当のIT化ということの理解が行き渡ることすら大変じゃないか、そう思ったものです。

しかし、少なくとも、昨日参加した20人近くの地方議員たち、それに4人の市役所職員は、韓国政府が提供しているようなITを実践すれば、飛躍的な人員、もの、時間の削減ができるだろうと思えたのではないでしょうか。

上から降ろされたIT化

地方自治体は、「こうしろ」「ああしろ」と、目まぐるしい通達、決まりの中で四苦八苦している。電子政府を目指す日本政府は莫大な費用を投じてIT化を急がした。地方の役所も電算化で膨大な処理をしてきた。

しかし、相変わらず人員は必要であるし、紙などの〈物〉はふんだんに使われている。天文学的な予算を投じているのに、ここ10年間に根本的な、飛躍的な変化があったとは思えない。

韓国のほうは、というと、日本と行政制度や法律が類似しているのですが、飛躍的に向上して、今や、アメリカを抜いて世界でランキング1位だそうだ。(ちなみに日本は19位。これだけの巨額を投じているのだから、黙っていても19位は当たり前)

なぜ、日本ではITを駆使できないのか。ヨムサンが疑問をぶつけてみると、有識者は政治制度、政治家や公務員の能力や意欲、ITベンダーの能力、国民性(前例踏襲主義)などの理由が上がったそうだ。

≪紙≫が存在する「電子政府」はちがう

「行政業務の電算化」と「電子政府」は違うという。行政業務の電算化はできているかもしれない。

「行政業務の電算化」の定義は、行政業務を処理する人が、住民と直接対面して会話をし、会話の中で必要なものを確認し、紙を利用して提供する。このプロセスを「コンピューターの力を借りて処理したもの」と定義できる。したがって業務効率の向上とは違う。この目的は行政業務を処理する側の業務の効率向上であり、使い手のほうは、そこに行かなくてはならないし、時間も人員も紙も存在する。サービスの向上とは言えない。

ここが韓国のIT化とまず違うところだろう。

たとえば、改札口

韓国にも新幹線のようなものがある。しかし、ここには改札機がない。地面に「We trust you」(信用します)が書かれているところを通って電車のホームに出られる。

つまり、客は乗車券特急券を買ったところでコンピュータの中にデータがある。改札機を通さなくても、列車内の点検でOKなのだ。改札機は1台1000万円だという。この改札機が何台設置してあるだろう。

この、〈物〉と〈他人〉〈時間〉の省略ができてこそ、サービスの効率化で、IT化なのだという。それができているのが韓国で、相変わらず〈物〉〈他人〉〈時間〉がかかっているのが日本。IT化で、かえってお金がかかっているのも、発想が前例踏襲主義から離れられないからでしょう。

行政の中に、前例踏襲のない人がいなければならないということになる。

議会だってそうだ。「そんなのも知らないのか」「前はこうだった。新米は知らないからどうしようもない」と言っているような議員がいるのでは新たな仕組みをチェックなどできはしないだろう。


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