スーパー堤防復活 [国策]

8月26日(月)

スーパー堤防建設

事業仕分けで、無駄な公共事業と≪仕分け≫られた、「スーパー堤防」建設事業が自民党政権で復活するのだという。東日本大災害を口実に、必要論がまた浮上してのこと。

国交省は突然、東京都江戸川区の堤防予定地の住民に年内の立ち退きを求める通知書を出した。

水害に見舞われたことがない土地なのに

「この辺りは水害に見舞われたことがない。どうしてまた対象になるんだろう」と住民たちは困惑しているのだと聞く。予定地は総面積1.8ha、ここだけ整備してどうなるの? しかも飛び地の状態で整備。つながっていない整備は「堤防」とは呼べない。

江戸川区の左岸の千葉県市川市には、総面積3ha整備済みのところがある。ここだけ盛り土をしたので、小山のようになっている。これも堤防だというが、つながっていない1か所を「堤防」とは呼べない。

スーパー堤防は、住む場所そのものが堤防、という巨大計画。「堤防の幅が高さの30倍程度」という規模、つまり、堤防の上に町が出現する。SF映画の世界としか思えない。

これまで、とびで整備している。荒川右岸の江戸川区平井では、100m整備するのに82億円かかり、73戸が立ち退きを迫られた。整備工事の間仮住まいを強いられるが、工事期間が長くなったり凍結されたりすると、もう元の場所に帰るわけにいかない家族も出てくる。

計画が無用のものとして消えることもあるが、公共事業を景気対策として唱える人がいるとまたぞろ浮上する。≪ゾンビ事業≫と呼ばれるゆえんである。国交省は「全体がつながることが望ましい。最終目的」「できるところからやるしかない」

事業開始から24年で5.7%だけ

首都圏と近畿圏の6河川で、873Kmを整備する(堤防の上に町)構想のスーパー堤防。バブル期後半の1987年の事業開始から24年たったが、整備されたのは50km程度、率にして6%弱。それでも費用は7000億円で、1m整備するのに1400万円もかかった。([もうやだ~(悲しい顔)]景気浮揚の公共事業としては、ツカエますなぁー)

飛び飛びで、こんな物造ってどうなるのでしょう。おそらく最終の姿を見る人は現存の人にはいない。スパー堤防の完成は2200年なんて言うのだから。それでも国はかまわないのです。景気を動かすとかいう時に、こういった巨大な公共事業を景気浮揚策に使い、「無駄遣い」との批判が出始めると、しばらく(なりを潜める)ことの繰り返し、をやってきたんでしょう。

≪スーパー無駄遣い≫の、「スーパー堤防」は、200年に一度の洪水に備えるのだという。200年の間には想定外の災害がほかにやってくるかもしれない。

近隣では、旧栗橋町で、スーパー堤防計画がかつて説明された。何も進んでいないけど、計画だけは消えていないし、今も人々は、それぞれの立場で賛否を語る。仕事をもらえる人は切望し、立ち退きを迫られるであろう人は「無駄だ」という。

地方や地域がズタズタになる。こういうものを進めるにしても、計画が廃止されるにしても、利害や感情で、誰かを悪者にしなければ「オチ」が付かない。政治に「功労者」と「悪者」役はつきものなのだ。


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。