焼却王国日本の水銀汚染 [学習会]

2月11日(金)

2月10日の「水銀汚染学習会」の報告をします。

国連で水銀条約の締結を

水銀は、水俣病で問題になった有機水銀だけでなく、ごみ焼却炉の煙突から排出される金属水銀を含め、少量でも有害です。国連では環境中に排出された水銀の影響を防ぐため、2013年においての「水銀条約」の締結を呼びかけています。

EUでは、水銀の製品規制、排ガス規制があり、それに輸出規制を4月からかけようとしています。日本はこれらの規制がありません。燃えるゴミとして処理されている中で、どれだけの量が焼却炉から排出されているかも調査が行われていないのでわかっていません。基準値はないのです。

そんな中、昨年東京23区の4ヶ所の清掃工場で、自主規制を超える大量の水銀が煙突から排出されました。私は、東京都の住民グループと一緒に学習会に参加しています。

誰が混入させたのか

23区の4つの清掃工場(足立区、板橋区、練馬区、世田谷区にある)の5つの焼却炉で、排ガス中の水銀が、自主規制値を超えた数値を示し、稼働が止まりました。「誰が(どこが)入れたのか」おそらく事業者による大量廃棄が原因だろうと結論付けましたが、当然特定は難しく、結局うやむやになってしまったそうです。

 管理主体である東京23区一部事務組合は、焼却炉には水銀等の除去装置が付けてあるので、1時間当たり200gという大量の水銀が、焼却炉で燃やされていない限り事故はおきない。蛍光管で言えば約20000本の量であり、事業系でないと混入されないという。事業者犯人説を発表しましたが、あまりに簡単に扱いすぎるのではないか、というのが市民グループに見方です。

事業系ごみとはいえない論拠

①今回は、同時期に計ったら、5つの焼却炉から同時に高濃度の水銀が排出された。4つの清掃工場に運ぶ事業者が同時期に不正排出したとは考えにくい。つまり日常ゴミの中身が問題ではないか、ということ

②足立清掃工場は、3億3千万円かけて水銀除去を行ったが、9月に再び規制値をオーバーした。原因はクリアされていない。※ 組合は、前に付着したのが残留していたから、と苦しい答弁。

③事業者犯人説に基づくヒアリング調査をやったというが、、どういう調査をどの事業者に対していやったか明らかにしていない。情報公開で資料を請求したら、9割黒く塗りつぶした資料がでてきた。

④焼却炉のメーカーは、除去装置で97,5%除去できると説明するが、組合はそれを検証していなかった。実際、焼却炉メーカーの説明で、金属水銀は除去できないという報告がある。除去できないとすると煙突からは(投入量が少なくても)水銀は規制値を越えて排出されていることになる。

⑤家庭系ゴミの可能性も捨てきれない。

以上は国内(東京23区)の問題です。ごみ処理からの排出を元凶のように書いてしまいましたが、23区の問題があったからで、水銀排出は、蛍光管、歯科用充填剤、電池、殺虫剤などの原因も考えられます。世界的に問題となっているのは、中国の火力発電、フィリピンなどの金採掘現場からの大量発生です。

最も汚染が深刻な中国

●地球的に水銀汚染を見ると、地球上で最も環境汚染が深刻な20都市のうち16市が中国にあるという現状。

●大気汚染が原因による中国の死者は年間40万人

●中国ではエネルギー源の3分の2が石炭火力発電。まだ、電気が通ってない地域もある中国では、今後も火力発電は電力のほとんどを占める。

中国の石炭埋蔵量はかなりの量です。排出し放題というのが現状で、これが風に乗って日本に来ているかどうかはわからない、のですが。

フィリピンの問題

フィリピンで、砂金や鉱山などから金を採掘する際に精錬に水銀を使うため中毒が起きています。この先、金採掘だけで5000万人の健康被害がでるだろうといわれています。金採掘での水銀排出量は全体排出量の20%にのぼるといわれています。フィリピンでの金採掘は、(1万8000人の女性と子どもを含む)30万人以上に雇用をもたらし、貧困層の生活維持のため、この作業から離れることは出来ないのだそうです。

 これからの世界の動き

EUは、2011年から、アメリカは2013年から金属水銀の輸出を禁じる方向です。輸出禁止により発生する余剰水銀の補完方法が論議されています。

日本は、

日本は、現在、水銀の国内需要は非鉄金属精錬副産物や廃蛍光灯などの回収された水銀でまかなっています。しかし、毎年余剰水銀が100トン以上、開発途上国へ輸出されています。EU、アメリカと同じように輸出を禁止すべきです。輸出する理由は、国内で保管する場所がないというものですが。

だから、国際的な規範を設けて、「水銀条約」を締結すべきと国連が呼びかけています。

国内においては、ダイオキシン同様、規制値を設ける、排出量を測定するなどの取り組みが必要と思います。


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