3種ワクチン接種、自治体が全額補助に不安 [行政]
幸手市、北本市も
今日の新聞を見ると、3種ワクチン接種補助団体がまた増えたようです。正確に把握していませんが、県内の市町の幾つかは、ヒブ(インフルエンザ菌b型)、小児用肺炎球菌、子宮頸がんの3種類のワクチン接種を(全額助成で)議決しています。
今朝の新聞では、北本市、幸手市で、全額を市が補助するということです。3種一緒に事業化するというのは、あらゆる世代に手厚く支援するのだよ、という自治体の姿勢をあらわしているのだと思うし、その前に「国」が3種をセットにしているからです。
で、これは政党にするとほぼ全部の政党が賛成しているように見えますし、実施する自治体でも全額負担で実施する旨の補正予算で出してきます。ほとんどの場合、可決⇒実施の道をたどることになるでしょう。
私は不安です
私は、まだゴーサインを出すのに疑義を抱いていますし、(私が所属する)無所属市民派が属する政策グループなどではほとんど、慎重論をとっています。3種ワクチンがセットで出された中で「子宮頸がんワクチン」に対して、「慎重に対応」論が消えないからです。
静岡市では、3種ワクチン接種に慎重論をとっていますし、市のホームページでも市の考えを示しています。しかし、そんな中、市議会には、「3種ワクチン接種」の要望が断続的に出ています。それに対し、この大きな流れに一石を投じるように、以下のような要望書が・・。
静岡市議会では
静岡市議会に、16日、「子宮頸がんワクチンの公費助成導入よりも、子宮頸がんに対する政策は<検診の充実>を選択するよう求める要望書」が出されました。
<要望書>
--私たちは、国が子宮頸がんワクチン接種を進めようとしていることに不安を持ち、ワクチンの安全性や必要性について、専門家と共に学習を進め、多くの人に『子宮頸がんワクチン』について知ってもらおうとブックレットを編集し、11月15日に発行しました。
その作業の間にも、静岡市もワクチンの公費助成を検討していると知り、過日子宮頸がんワクチンの導入に対して慎重な審議を要望し、その趣旨を提出させていただきました。その際、市の担当課より『予防接種法によらない政策は性急に実施する考えはない』という返答をいただき、安堵しました。が、今回、国の経済対策として、子宮頸がん、ヒブ(インフルエンザ菌b型、細菌性小児肺炎球菌)ワクチンの実施に予算が確保されたのを受けて、静岡市議会においてワクチン接種事業の実施を検討(審議)されていると聞き、医学的根拠のある政策の選択をお願いしたく、趣旨を申し上げます。--
以上の要望書は、丁寧にして長文なので、全部を示せませんが、要するに、①国が定期接種の方向性をきちんと示さないまま、自治体の自主的事業に補助するという形で予算化している。②本来、予防接種は国の責任において実施されなくてはいけない。今回、副作用が起きて重篤な事態になっても国の責任は何ら示されていない。③補正予算で、自治体の責任を強制するやり方であることの問題点を挙げています。
「子宮頸がん」の場合、抗体が出来る前に治癒する病気に、ワクチンで抗体をつけて発病を防げるという医学的な証明がなされていない現状において、たとえ、国が予算を取ったからといって、子宮頸がんワクチンの接種を公的助成により実施するかどうかには、自治体独自の、慎重な判断をお願いしたいものです。
財政的にも、医学的にも、これだけのリスクをもって自治体が実施することの危険性を考えないで、議会が議決し、執行することの無謀性を無視できません。
前にも書きましたが、子宮頸がん予防は、子宮頸がんの検診率が非常に大事です。検診にも行かないで、ワクチンを接種したからといって安心ではありません。検診を無料化し、検診率を上げる政策のほうがはるかに効果的で、早期発見により、健康被害を食い止められます。
また、中学1年生時に接種とか、高校1年まで接種枠を拡大ということを検討する前に、十分な「性教育」がなされていなければなりません。若年齢での接種は「接種したから安心」との間違った知識を放置することにもつながり、本当の意味での「予防」になりません。国の補正、自治体の全額負担などで実施に踏み切ると、「持続的な予防」の取り組みが難しくなります。
静岡市のホームページ
静岡市のホームページには、3種予防ワクチンについて、市の見解を示し、(こういうわけで)静岡市は、ワクチン接種に対して慎重だと広報しています。(10月中旬) その中で一例として、「子宮頸がん」について以下のように広報しています。
子宮頸がん ・・・ワクチンで予防できるとして注目されています。子宮頸がんは、性交で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が原因ですが、たくさんの種類があります。女性の概ね50~80%は感染するといわれていますが、ほとんどは自然治癒し、ごく一部の人が癌になるといわれています。
現在日本で使えるワクチンは、この中で2種類(16型、18型)に効果があり、全HPVの6~7割をカバーできるといわれています。接種後6年くらいは予防できるという結果が出ています。(臨床実験も7年ほどしか経っていない) --以下続くーー
静岡市は、以下の理由から、任意接種の助成は実施していません。
〇静岡市はかつて種痘による健康被害を経験し、安全性を最重要視している
〇予防接種には、いろいろな考えがある
〇海外での実績はあっても、日本での安全性、有効性の評価はこれから
〇健康被害が発生したときの補償や責任の所在が確立していない
〇予防接種の体制について地域差があってはならない(国がやるべき)
〇(外国製のため)ワクチンの供給が十分でないことがあり、希望する時期に接種できない可能性がある
〇公費助成の場合、市が推奨していると受け取られる可能性がある。
以上の理由で、静岡市は、慎重論をとっていますが、一般的に、議会で質問が出るのは「他の自治体ではどうか?」が多く、これが潮流となり、あっという間にどの自治体も実施に踏み切ることが往々にしてあります。
地域主権は、財政的にも、医学的にも、「わが町のことはわが町の事情で考え、決める」ことであり、政党や団体がいくら要請しても、「わが町」の考えを確立することが大事だと思います。また、その「確立」が数年立ったら役に立たない「一時しのぎ」でもダメでしょう。
コメント 0