仰天 武士の家計簿 [日常]
12月14日(火)
ニッポンの教養「仰天 武士の家計簿」
たまたまチャンネルを変えたらNHK総合で「爆笑問題 ニッポンの教養」というのをやってまして、たまたま今日は「仰天 武士の家計簿」でした。
古文書の中から出てくる時代の風物、おもしろ世情などにこの上なく興味を示す私は「お~もしろそう!」と早速<しっかり視聴>体制に入りました。もう深夜だったのに。
登場人物は、磯田道史氏。幕末の古文書から、当時の下級武士の生活をリアルに掘り起こした「武士の家計簿」からこの人に興味を持っていました。
年収1200万円、借金2400万円
時は幕末。黒船がやって来たあの頃の下級武士の、几帳面にして<泣けるね~>の話が、メモや走り書きも含めた日誌から浮かんでくる。
下級武士の困窮
岡山藩の下級武士「猪山直之」は、まじめにつつましく暮らしていました。が、生活すればするほど増え続ける借金に苦労しています。当時、両親夫婦、直之夫婦、子という家族構成。収入(今の感覚で)約1200万円、これに借金が2400万円あったと古文書からは推測できます。
下級武士は首をひねる。「なぜなんだ?」 そこで、どんなものにお金が出るのかいちいち記載していくことになります。(なんと、これを30数年続けるのだから、日本人ってある意味すごいねと、爆笑問題の二人は感心していた)
江戸時代は、家計は家長が握り、奥方はいっさいやらない。猪山直之は、几帳面に記し始めました。食費、付き合い費・・・。
武士の体面・・・「身分費」
その結果、「さむらい」だから要る費用があったのです。
人件費・・・武士には(どんな末端武士でも)体面を繕う最低の費用が要る、これが家計を圧迫していたのです。下級武士とて、どこに行くにも「ぞうりとり」を伴わなければならない。家庭には「下女」がいる。両使用人ともかなり安いお金しか払わなくても、この人件費は最低必要なお金だった。
親戚づきあい・・・また、「親戚づきあい」もおろそかにしないのが武士の世界だった。当時、年に200回も親戚が来た。そのたびに親戚は「ぞうりとり」をつれてくる。びんぼうでも、親戚のぞうり取りには「おひねり」(当時のお金で750円くらい)をださなくてはならない。親戚のメンツにも関わる。
こういった、武士なるが故の「身分費」を捻出しながらの生活が、家計を細々とさせていた。
借金返済
そこで、家長の直之は、借金返済計画を立てる。古文書には、茶碗一つ、茶筒一つまでずらっと売れそうなものが書き出してあります。
高く売れたのは書籍、それに衣類。大事な書籍もほとんど売った。一冊(今のお金にして)22万円とか。衣類は黒紋付が最高値で62万円、赤ちりめん42万円、机一却万2千円、茶筒400円、など磯山先生が今の値に直して記載した。
こうやってぎりぎり売って捻出したお金が合計1025万円。2400万円あった借金を全部返せるわけではないが、まじめな武士の出納帳とにらめっこの生活がしのべて面白い。
下級武士・猪山直之は、他にもこのころの様子を、実に細やかにメモしている。赤飯いくら、とかそれについている胡麻いくら、まで書き残すとは、かなりの「几帳面」です。当時も、日本人は医者好き、薬好きなのも興味深い。メモ、走り書きすべてが時代を推察すつ優良なグッズになっているのです。磯山先生は「当時のツイッターです」と、笑う。
幕末のツイッター
ほんとだ。ツイッターだ。明治になると「汽車が走った」「牛肉食べた」など、人生のなかのビッグニュースが「走り書き」で残っている。
忍者が「腰痛」で引退
古文書は面白い。そのほかにこんなのも出てきた。江戸初期と比べると、幕末、激減していた職業に「忍者」があった。おかしいのは、「しのびのもの」も幕末になると、わざと目立つ衣装を着、仕事をアピールしていたらしいのです。もっとおかしいのは「腰痛で引退」と書き残された忍者のことが残っていた。笑ってしまいました。ペーソスにあふれた小市民の生活、メモや走り書きが時代をtweetして(つぶやいて)いる。
NHKも面白い。遅い時間だと居眠りしているので、ほとんど見ないのですが、また見ようという気になりました。
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