数字のマジックにごまかされるな [国-地方]

10月16日(土)

数字のマジック

数字の用い方で、いかようにも内容、受ける印象を変えることが出来る。数字そのものはその通りだが、年月が違っていたり、スケールが違っていたり、ポイント地点が違っていたりと背景を変えてしまえば、「数字は事実であるが、現実でない」理論がまことしやかに通ってしまう。

民間主導、政治主導、官主導いずれにおいても「なんか変だな」と思ったら突き詰めてみたほうがいい。

特に「官」の仕事は、相手が居丈高に「何が変なんですか?」なんて開き直ってしまわれると、自分の勘違いかと思って引き下がってしまうことになりがちだ。

しかし、「なんか変だな」それこそが、「民」の直感であり、大事にすべき感覚なのではないだろうか。数字のマジックをすまし顔で説明する公務員は、間違った「使命感」のしたがっている。 例えば、こんなのがあったそうだ。

以下、河野太郎氏のブログより転載です。

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検察のFDの書き換えなみかそれ以上の犯罪が行われている。
事件現場は、国土交通省の河川局だ。今度は天下り先の問題ではな
く、国土交通省そのものの犯罪だ。

(ちょっと長いけれど、読んでね)

群馬県に八斗島(やったじま)という場所がある。利根川上流の治
水基準点になっている。

二百年に一度の大雨が降ったときに、ここをどのぐらいの水が流れ
るかを計算した数字を「基本高水」という。

昭和33年に三日間で168mmの雨が降って洪水が起きたときの
八斗島の実測データがある。これに基づいて、まず基本高水の計算
モデルを作る。

次に200年に一度の大雨といわれる1947年のカスリーン台風
の雨の量、三日間で318mmを計算モデルに入れると、基本高水
は毎秒22000トンと計算される。

八斗島を流れることができる水の最大量は毎秒16500トンなの
で、あと毎秒5500トンの水を上流でなんとかしないと洪水にな
るというのが国土交通省の説明だ。これまでに造られた六つのダム
で毎秒1000トンを調整できる。八ッ場ダムは大きいので、それ
一つで毎秒600トンをカットできると国土交通省はいう。

国土交通省によれば、八ッ場ダムを造ってもあと毎秒3900トン
分が足りない。ま、あとダムを10個も造れば...ということら
しい。

昭和33年は利根川上流の森は荒れていた。この地域では、戦時中
に木炭作りやら何やらで木が伐採され、まだ回復していなかった。

昭和33年洪水を基に作成した計算モデルは、この荒れた森の保水
力がベースになっている。

その後、森林は回復し、森の保水力は大きくなった。だから、昭和
33年の計算モデルは当てはまらなくなってくるはずだ。

ところが、国土交通省は、1982年洪水のデータをこの計算モデ
ルに入れて計算すると、実測値とぴったり合うからモデルは現在で
も使用できるといっていた。

1982年洪水の観測最大流量は毎秒8192トン、国土交通省が
そのときの雨量を計算モデルに入れたら最大流量は毎秒8172ト
ンになった。ほらね、ぴったりでしょ。だから計算モデルは今でも
有効なんですよ!

実測値毎秒8192トンに対して、計算モデルが出した最大流量毎
秒8172トンは、驚くほどぴったりと合う。普通のモデルならば
もっと誤差は大きいそうだ。だから、国土交通省が胸を張るのも無
理はない。国土交通省の技術力はすばらしい!!!!

刑事コロンボを見ていても、犯罪者が失敗するのは、あまりにアリ
バイ工作を完璧にしてしまうからだ。

「実測値毎秒8192トンに対して計算値毎秒8172トンはほぼ
ピッタリですよね」とコロンボは言う。河川局長は、「そうだね、
この計算モデルは正確なようだね」ととぼける。

「アタシがわからないのはね、そこなんですよ。あまりに数字がぴ
ったりすぎる」「どうしてだね、コロンボ君、国土交通省のモデル
は精緻なんだよ」

「はい、それはよくわかってます。でもね、この計算モデルの基に
なった昭和33年(1958年)から1982年の間に上流にダム
が三つ増えているんですよ。そのダムが水を貯めちゃうんでね、昭
和33年の時と1982年の時は、その分、流量が違うんですよ。

もし、その三つのダムがなかったとしたら、1982年の実測値は
毎秒9102トンになったはずなんです。国土交通省の計算モデル
にはこの三つのダムは入ってませんから、計算モデルの計算値は9
102トンに近いものにならなきゃおかしいんです。

だけどダム三つがモデルに入っていないはずの国土交通省のモデル
で計算すると、ダムが三つ増えた後の実測値毎秒8192トンにぴ
ったりの毎秒8172トンになってるんです。どうしてそうなるの
か、私にはわからない。あなたどう思います、河川局長」

つまり、国土交通省は、数字が合うように捏造してしまったが、そ
のときに前提条件が変わったことを忘れて捏造したのでつじつまが
合わなくなった。

そういわれて国土交通省は、以前のモデルとは流域の分割の仕方を
変えたから、この数字が出てきたのだ。新しいモデルは正しいのだ
と強弁する。

では、それを検証するためにその流域分割図を出してくれと言われ
て、前原前大臣は出しましょうと言った。もはや河川局の嘘がばれ
る!

そこで、河川局長は戦略を変えた。国土交通省のモデルは流域を分
割したから数字が変わったのではなく、流域の木が成長して、以前
よりも山が水を蓄えることができるようになったので、数字が変わ
った。だから、それを反映した国土交通省モデルは正しいと言うよ
うになった。

これまで国土交通省は、昭和33年モデルは現在でも有効だと言っ
てきた。それがあっという間に、森林の成長を反映した新モデルを
使っていると立場を変えた。

では、森林の成長による保水力(つまり飽和雨量)はいくつを使っ
ているのですか、というのがあの予算委員会での最後の質問だ。

これまで国土交通省は、八斗島の飽和雨量はずっと48と言い続け
てきた。それに対して治水学者たちはそれはおかしい、木が成長す
れば飽和雨量は増えるはずだと言ってきた。それでも国土交通省は
かたくなに48だといってきた。

なぜならば、飽和雨量が増えることは、山の保水力が増えることを
意味し、結果的に基本高水が低下し、ダムの必要性が小さくなる、
あるいはなくなるからだ。

八斗島の基本高水を計算するモデルの飽和雨量は48ですと言い続
けてきた国土交通省は、自分のミスを隠すために、実はこれまで飽
和雨量を変えて計算してきたことにしなければならなくなった。

自分たちのモデルを守るために、いや、自分たちの嘘を隠すために
逆算した数字が、あの馬淵大臣が答弁したマジックナンバー四つ、
つまり、31.77、65、115、125なのだ。

問題は、今まで押し通してきた論理の一つを苦し紛れに全く変えて
しまったことで、今度は他のつじつまが合わなくなってくる。それ
を隠すために、国土交通省は徹底的に資料隠しにくるだろう。馬淵
大臣がいかにこれを是正するか、民主党の政治主導が問われる。

ちなみに東京新聞だけがこの質問のことを大きく報道してくれた。
それぞれのメディアの皆様、御社の国土交通省担当にこのことを尋
ねてみてください。もし、何のことかチンプンカンプンのようだっ
たら...

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