低炭素地域づくり条例 [学習会]

7月15日(金)

「温暖化対策条例」は22の地域で

昨晩(7月14日)は、18:30から法政大学大学院601号教室で開催された「低炭素地域づくり条例」に対するプロジェクト研究会の研修に出かけました。

気象ネットワークの平田仁子さんの報告がまずありまして、行政において、「温暖化防止対策条例」を策定しているのは、現在全国で22団体だそうです。多くは、県、次に政令市だそうで、(政府の声かけは大きくても)まだまだ条例をつくり、この問題に取り組んでいる自治体は少ないようです。

そうは言っても、政府のいう2030年までに1990年比で温室効果ガスを25%削減するという長期目標は、依然生きているわけでして、手をこまねネいてはいられません。異常気象が、異常とは呼べなくなった現在、それ以上に“出来るところが出来ることをやる”ことが求められるのだと思います。

市民に最も近い自治体を“低炭素地域”へ転換していくためには、環境部門のみならず全自治体的な対応が必要になります。

やっていることは「啓発活動」だけ

これまでの自治体レベルでの地球温暖化対策の大半は、住民に対する啓発活動が主流。啓発パンフレット配布、環境イベント開催、環境家計簿配布等々。こうした取り組みは、「地球温暖化問題を知らせるきっかけ」としては有効ですが、継続させること、広げることには、そして大幅な削減を実行することには限界があります。今後、節約運動を越えた取り組みにするにはどうしたかいいか。

[耳]中長期の地域づくりビジョンを持つことは大事です。政府の計画を踏襲するのでなく、地域の目標に向けたロードマップ(年次計画のようなもの)、アジェンダ(行動計画)を持つことで実現の道すじを作らなければならないでしょう。とりわけ、地域が地域のポテンシャルを生かし、GHG削減の定量的目標を持ちながら、ビジョンを検討、住民と議論しながら目的を共有することが重要。

企業などを持つところは、課題も多いですが、東京電力、ガス会社などからデータを得やすいという利点もあります。現に、川越市など県、東京電力などから得たデータをベースに削減目標、手法などの検討に入れました。(かえって、企業を持たないCO2排出の少ない地域のほうが定量を出しにくい)

◎低炭素地域づくり(条例)の考え方

<すべての市町村に共通な項目>・・・中期(2020年ごろ)の温室効果ガス削減目標を定量的に示すこと(例・京都市、柏市)。意義・・中期(2020年ころ)の目標を定量的に示すことにより、地域が目指す方向性が明らかになり、進行管理を容易にする。(とりわけ、施設等の改修に携わる)自治体職員の意識を「低炭素型」に切り替え、ひいては市民、事業者、自治体の低炭素型投資行動を促すことが可能になる。

肝となること・・学校をはじめとする市民に身近な公共施設を、新築・改修するとき、建物の省エネルギーの導入は必死。直営(委託)事業を通じて、地域インフラの低炭素化を促進することが出来る。義務化も必要。

実例報告・・・川越市と柏市

報告1 「柏市の地球温暖化対策条例の策定・実施状況について」 (柏市環境保全課副参事--中山純一さん)

報告2 「川越市の地球温暖化対策条例の策定・実施状況について」 (川越市環境保全課地球温暖化担当--飯野雅史さん)

「市」では、京都市がいち早く策定に着手しましたが、その次に取り組んだのが千葉県柏市、さらにその次が埼玉県川越市です。

川越市・・・川越市は、H19年12月、全国で3番目に「地球温暖化対策条例」を策定しました。川越市の地球温暖化を意識した取り組みは比較的速かった。H8年、「1%節電運動」を市を挙げて繰り広げたのが始まりです。H9年には住宅用太陽光発電システムに補助をつけたりの事業を展開しながら、H10年「環境基本計画」、H11年「環境にやさしい率先実行計画」、H11年「1%プラス1(ワン)運動運動展開。そして、H11年「ISO14001」認証取得。

川越市は、その後も、エコチャレンジファミリー、エコスクール認定事業など継続的な取り組みを実施しながらH18年、「川越市の良好な環境の保全に関する基本条例、H19年、「第2次川越市環境基本条例」策定、H19年12月「川越市地球温暖化対策条例」につながりました。H20年、「アジェンダ21」(行動計画)、H21年「公共工事における環境配慮指針」策定、など。

長くなるので、大幅に省略しますが、川越市は「定量」的目標を立てたので、CO2にして44400トンの削減を達成したそうです。

位置を失った「ISO14001」?

H12~14年ころは、どの自治体もステイタスつくりのように「ISO・・・」認証取得を目指し、取得ラッシュといわれました。3000自治体のうち400を超える自治体が取得しました。自治体は、国際規格の中での管理で、環境対策継続のしくみをつくりながら、(あい反して)取得により環境意識にピリオドを打ったようにさえ見えたものでした。宮代町が期待に反して、(H9年ごろ取得に着手するのでは、といわれた)4,5年遅れで取得に着手するといった時、わたしは「なぜ、今?」と、しらけました。取得行動が何も啓発できない「旬を過ぎた施策」であると、悪態をついて苦しみながら、???満載の賛成討論をしましたが…。

「ISO14001はどう位置づけるの?」

昨晩、最後の交流、質疑応答のところで、「ISO取得」と「地球温暖化対策条例」のつながりについて質問しました。

法制大学(院)の講師・「環境自治体会議」の増原直樹さんは、「たしかに3割の自治体で取得したISOは、お金もかかるので、その後<自己管理>に 移行したり『環境スタンダード』に乗り換えたりした。また、合併により400余の取得自治体は半分に減った。取ったことの安心感と、P・D・C・AのマネジメントのなかでISOが形骸化したところもある。ISOは手続き、手法なんで(企業にあっては付加価値になる資格?)、その中で<温暖化対策条例>は行動である」と、いう。わかるようでわからない。

「わたしは柏市民だけど」

同じく質疑応答で、「わたしは柏市民です。仕事も環境関係をやっている。県の〇〇検討委員会、国の〇〇プロジェクト、柏市の市民〇〇に入っているけど、柏市の条例については知らなかった。パソコンMLで、<柏市の温暖化対策条例>というのがあったので、柏市も条例を作るのか、と思って今日参加した。市民でいながら知らなかった。今後はウオッチングしていく。このように住民に周知は難しいものです。極端に言えば、市役所内でも、担当以外は関心がないということもある」と厳しい意見がありました。

真に、的を射たご意見であります。総合職でありながら「関係なければ、興味もない。」のだそうだ。庁内でもこうです。まして、住民に知らせたツモリが「それ、なーに?」ってことになるもの。

町内の事業者においても「ISOは、敷居が高くて、よそよそしくて、お金がかかモノでした。エコアクションはどうですか?」と持ちかけた方が楽しめるのでは…。

まとめ・・・削減で得た数値を、他の削減作業のために使う、このくり返しが必要、とのことでした。


nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。