オンデマンドバスは、あらたなコミュニティーバスの代わりになるか [行政]
オンデマンドバスとは...11月20日視察に行きました。
予約制の乗り合いバスのことです。乗客がいなければ走らないから、高効率です。 基本的に自分の家の前が停留所です。先ごろまで実証実験で稼動していた柏市の「オンデマンドバス」は、490ヵ所の停留所があったそうです。
東京大学コンビニクルプロジェクト
このシステムは、東京大学大学院・新領域創成科学研究科・人間環境学専攻の教授、研究員、学生など8人のチームが研究、実証しているものです。昨日は、チームのメンバー飯坂さん(学生)が案内してくださいました。
これまでの「オンデマンドバス」
オンデマンドバスは、約20~30年の歴史があり、イギリスなどで運営されています。しかし、オペレーターが予約を受け、経路を作り、配車、行き先を指示するといった仕組みが面倒で、コスト高で、ユーザー、管理者ともに使いにくいものでした。例えば、運転手が、運転経路を考え、途中から入った予約を回っているうちに、あるいは途中から入った配車指示にしたがうと、遅延が生じていしまう。 その結果として利用者が減り、ということで広がりにくかったのです。
つまり、会議、通学、通勤、待ち合わせなど時間的制約のある利用者にはむかないからです。
地方公共交通の悪循環
一方、地方公共団体などが事業化した「公共バス」も、悪循環(利便性が悪い⇒乗客がいない⇒採算性の悪化)をきたし、それでもやめられず、空のバスがぐるぐる回っているという事態になっています。この維持費に、年間数千万円を支出している自治体も、費用対効果で問題。しかし、高齢化、単身者家庭の増により、福祉的な立場から、どうしようもなく、利用者が減っているにも関わらず、改善がなかなか出来ない。
実際の移動時間を蓄積するデータベース
東大チームの仕組みは、到着時間の希望を守りながら、予約を追加していく仕組みです。〇希望より10分だけ早く着く用に経路をあらかじめ作成 〇移動データの蓄積で、すばやくシミュレーションが出来る。
ということで、これまで三重県、大阪、近くでは柏市で実証運営を終えています。
高齢化率40%の地域で
川越市の西部、第6圏域は、昭和40年代に開発された地域、今後3年で高齢化率40%を超えることが予想されるそうです。また、周辺地域も、今後10年で急速に介護サービスの必要が高まることが想定される。そこで、施設ケアの一環として、オンデマンドバスの運営が始まったと聞きます。
西部診療所・施設「みなみかぜ」の地域づくりと、東大チームのコラボ
「いどばた号」
外出したいけど足がない。タクシーは家の前まで来るから便利、だけど料金が高い。バスは停留所まで遠いし、本数も少ない。施設と地域介護を担っている西診療所、デイケア「いどばた」の利用者の皆さんは、あらたな「バスの仕組み」を探していました。
そんなとき、NHKで放映された「柏市で実証中のオンデマンドバス」を見ました。 そこで、西診療所・介護施設「いどばた」、「なごみ(みなみかぜ)」の会員(「健友会」という)で、「いどばた」から半径2キロ以内に住む人で、自分で車の乗り降りが出来る人で「オンデマンドバス利用」の仕組みを作りました。 車の名前は「いどばた号」 登録者は、240名、平均年齢73.3歳。
「いどばた号」の1年の必要経費
車リース代 63万円、 ガソリン代 14万円、運転手人件費 90万円、予約運行システム利用料 10万円、 合計 179万円7817円
上記の金額を、総利用者数で割ると、必要経費は一人約1000円(コミュニティーバスは、平均570円)。
PDA端末によるコンパクトな車載器
ハンドル脇の車載器を見ると、〇次に向かうバス経路(バス停)と、到着時刻が表示されます。〇次に乗車するお客様を確認 〇あと3人乗ります などが画面に出ます。
一方、予約するほうですが、介護施設「いどばた」で、実際にやってみました。 タッチパネルの文字、数字が大きくわかりやすいです。 到着時間、目的地、人数などをインプットします。なれるとお年寄りでも出来そうです。
柏市における実証では、「柏の葉キャンパス駅」に設置された大きなタッチパネルがありました。銀行のATM感覚で予約が出来ます。
自治体なら
これからの展開として、自由度の高いオンデマンバスを運行するには、自治体によるシステム購入・維持が必要だということです。ボランティアを含めた、運転手などの人件費の削減、複数自治体向けサーバシステムなど、費用の削減への期待度は大きいのではないでしょうか。
◎北本市で10月から実証が始まったということです。船橋市、鶴ヶ島市でも実証すると聞きます。また、春日部市では、オンデマンドを含めた「公共交通を考える協議会」が出来たとか...。いずれにしても、現状で<ベストコンディション>というわけでもないのが、各自治体事情なのでしょう。
宮代町においては
まず、こういったシステムに日本工業大学との共同研究が作りやすいというメリットがあげられます。それから、発展的には、病院、施設の相互利用に、杉戸町との連携も。
どこの自治体も、コミュニティーバスの必要性は理解できるも、ほとんど「空バス」状態で走っています。 費用対効果の面でも、温暖化対策の面でも、自治体としてもっと工夫しなければならないと思われます。
昨日、『西診療所』の小川理事長、そして東大コンビニクルプロジェクトの飯坂さんの説明を聞きながら、16平方kmという小さな宮代町は、オンデマンドバスを活用するのに、ちょうどいい面積ではないかしら、と思ってみたのですが...。
※宮代町の循環バスは、運営費に年間1000万円ほどかかります。競争入札により、一時期より管理運営費は安くなりました(それとバス自体もコンパクトになりました。運行時刻表も、バス停も工夫されています)。が、いかんせん、いつ見ても乗っている人が少ない。 何かいい方法はないかと思い、あちらこちらの情報を頼りに出かけています。
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