新型インフルエンザワクチン [医療]

エビデンスのない新型インフルエンザ

結局、わが家の場合のインフルエンザ患者も軽症だったかもしれません(現時点では)。 ちなみに、季節性インフルエンザでも、毎年約1万人が死亡していますし、新型インフルも過去の例から、2~3年もするとそのまま季節性インフルになって流行を繰り返すといわれています。

ところで、厚労省は、秋から冬にかけての流行に備えて、新型インフルエンザワクチンの調達を検討しています。5300万人分必要なのに、国内で生産できるのは1700万人分なんだとか。で、あらたに厚労省では5000億円の予算を立て、輸入計画を立てているとの報道がありました。

「ワクチンは接種するのが当たり前。接種すれば感染を防げる」と考えている人がたくさんいます。「副作用論文」の中では、意外かもしれませんが、季節性インフルエンザにはあまり効果がないといわれています。重症化を防ぐ可能性があるといわれていますが、それも100%ではないそうです。ワクチンの型が合っていない場合は10~30%、合っていても40~80%程度だそうです。

厚労省が、ワクチンの有効性を認めて予防接種法に位置づけているのは、65歳以上と基礎疾患のある人だけです。これをまず、ふまえたいです。

では、新型インフルエンザではどうか。新型インフルエンザワクチンも、季節性インフルワクチンと同程度の効果と推測されていますが、世界中で初めて使うのですから、どの国もどの製薬会社も、充分なデータを持っていません(もちろん在庫も)。

すでに治療を始めている国もありますが、治験では、少数の患者対象、短期間観察の段階です。長期的な有効性や、まれな副作用に関して十分な情報を集めることが出来ません。つまり、よくわからないまま使うことになり、そのための準備を急いでいることになります。

副作用は避けられないということ

わが国では、充分な議論をしないまま、エビデンス(怪我・疾患に対する効果、その検証)のないワクチンが用意され、(多分優先順位をつけて)多数の国民に接種されようとしています。多数の国民も不安から、一応の安心感を得たいと思うでしょう。仮に、副作用の頻度が0.01~0.001%程度であったとしても、数千万人にワクチンを接種すれば、数百人、数千人に副作用が起こり、社会問題になること必至です。

もし、新型インフルエンザの致死率が高く、ワクチンによる究明が期待できるなら、接種の合理性はあります。しかし、現時点で有効性や副作用に関する情報が限られていることに留意しなければならないと思います。

このような状況の中、WHOは、ワクチンを大規模に接種すれば、副作用は避けられないと明言しています。WHO内にいる公衆衛生の専門家たちの発信ですが、専門家達の誠意の「声」です。

日本の過去のワクチンに関する経験

日本では、ワクチンの薬害訴訟が繰り返されてきました。種痘、インフル、三種混合(DPT)、新三種混合(MMR)などです。訴訟のたびに、厚労省、自治体は予防接種を中止しましたが、十分議論しないままでした。リスクとべネフィットについて議論しないで来ました。

予防接種法

問題は、新型インフルエンザワクチンが予防接種法に位置づけられていないことです。このままでは、新型インフルエンザワクチンは、定期接種の対象とはならず、国が予算措置したというだけ(今回のように)。だから、副作用の補償は、国の被害救済制度ではなく、製薬会社の拠出金でまかなわれることになります。両者を比べると雲泥の差です。    この問題は製薬会社にとっても深刻です。

法定予防接種法は、予防接種健康被害救済制度というのが別個にあって、補償は手厚くなっています。懸案の新型インフルエンザは、法定予防接種法に認定されなければ、ワクチンの副作用が生じても制度は使えません。

マスメディアの役割

新型インフルエンザワクチンの導入にあたっては、リスクとベネフィット(効果)をどのように考えるか、どんな法が必要か、国民的論議が必要です。しかし、死亡例(今までの例は持病を持った人が死亡した)などを、単発的に報道するだけでした。多くの国民は「流行期に入った!!」、インフルエンザワクチンの有効性だけの報道をよりどころにし、充分量のワクチンが確保できれば「国民皆接種」の方向に行くんだろうと、漠然と考えています。           

現時点の報道を見ると、今起こっている現象だけ。しかしながら、いったん副作用が報道されたら世論は一変するでしょう。で、ワクチンの問題点を挙げ、製薬会社や厚労省を糾弾し、ワクチンは在庫の山...。

言えることは

言えることは、妊婦、持病を持った人への優先性の確保、小児、児童の「脳炎」を防ぐ対応を十分に診ながら、国民に出来るだけの情報を出すことではないでしょうか。

あいまいな中で、小児科医を筆頭に内科などの混乱、疲労の現場が心配です。


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