地方自治法の(抜本的)改正案 [国会]

地方の実情を知っているのか、知らないのか

通常国会が始まりました。小沢幹事長の問題で大騒ぎする中、たくさんの法案審議が用意されているのを意識しなければならないと思います。「小沢問題」は大事ですが、審議内容ももっと詳細に国民に知らせてほしいと思います。

議員数の上限撤廃と、協同組織化

改正案の概要が出ました。第29次地方制度調査会が昨年6月にまとめた答申に、沿っての改革案ですが、地方議会の自由度を拡大するとして、議員定数の上限を撤廃することなどが盛り込まれています。                         その後、「地方政府基本法」の制定の方向ですが、その中には、首長が、議員を執行部の幹部に登用することが出来るいわゆる「議院内閣制」の是非も話し合われるという。

これは、全国町村議会議長会などが求めてきた項目だそうです。定数の上限というのは、たしかにあります。人口3万5000人なら、議員数26人以下とする。  上限だからほとんどこれより少ない定数になるわけだけど、何だカンダ言って、「決まっている定数よりこれだけ少ない」の論議が主導になって、削減効果だけを言う。あまり実がないように思ってきました。

しかし、今回の上限撤廃は、1人当たりの報酬を引き下げて定員を増やすことも出来るということであります。自治体の選択肢が広がりました。             もともとは、主婦や会社員などいろいろな分野の人が議会という決定機関に参加できるようにと、その方法が長い間論議されてきたわけですから、いい感触だと思います。                                              また、これに伴い、会社員が議員活動に専念できるように休職-復帰制度の導入を労働法制度との整合性までも勘案するということです。

これまで、議員には、個人営業主や、会社を定年退職した人、政党に属している人、などきわめて限られた人がなっていました。とくに町村議会は、報酬が低いので、議員だけではやっていけない、そこで地元事業主の副業、あるいは名誉職、あるいは就活より簡単、といった感じの人もいなかったわけではなかった(一般適にです)。 これでは、幅広い分野での力を集められない、という懸念が前からあったわけです。そういう意味では、「全国町村議会議長会」の要望もわかります。

しかし、あくまで町村議会の自由度が拡大するという意味で、受け止めたい。   そのまんま取り入れることもないでしょう。自治体によって、個々の背景、事情があるわけですから。

地方自治体は、あらたに法や制度が出来ると(降りてくると)、新制度の特性を十分吟味しないで、「今度、こう決まりましたから」と、速やかに順応したがります。    ここが危うい。

上限を取っ払い、できるだけたくさんの議員が出て、報酬がますます低くなる、ということは、望ましいところですが、反面、「片手間」の議員を増やし、エキスパートを育てないといった弊害もでてくる可能性を残すことになりはしないか?

首長の権限が強くなりはしないか

もう一つの、議会議員から執行部の幹部に採用される、、という改正案も、慎重に考える必要があると(私は)思います。あくまで議会制民主主義の上に立って考えると、議会、執行の力のバランス上、難しくなりはしないか? うがって考えれば、首長が自分与党の議員を登用するということにつながらないか、など慎重論があってしかるべきです。

その背景には、町村議会の力不足(首長寄り議会)というものがあるんですが、ますます報酬が安くなると、議会が審議会と変わらないような役割になりかねない。

その他、自治体間で、共同設置できる組織等(保健所機能、公平委員会、農業委員会、教育委員会、監査委員会、介護認定審査会などの付属機関の共同、複数の自治体が会計課、監査委員事務局の共有など)が、自治法改正案には入っていますが、これらは、自治体間の交流、ノウハウの共有が再構築、運用できる方法としていいかもしれません。

いずれにしても、独自に考えること(考えられること)が、地域主権の本丸だということを念頭に置き、はずさないことだと思います。


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