巨額公共事業に8割が「NO!」 [地域発]

8月3日(月)

住民投票で「要らない」を選んだ!-つくば市発

 茨城県つくば市で、305億円という巨額を投じた運動公園建設計画に、投票者の8割を超える人が反対の意志を示しました。

 つくば市が昨年から着々と進めていた大型公共事業に、住民が「住民投票」で決めるよう請求していた問題に、はたして「反対」がどのくらい集まるだろうと注目していました。が、即日開票の結果は、予想以上に反対が多かったです。

公園整備計画は2000年、前市長の時、基本構想を定めましたが、用地を取得するには多くの費用を要すとして断念した経緯があります。

 それが再燃したのは昨年、用地取得の可能性が出てきたからで、昨年3月議会では、土地取得関連議案66億円をつくば市議会は1票差で可決しています。

続いて、市は昨年6月計画策定員会の設置、今年1月には、パブリックコメントの公募と、急速に計画は前のめりで進んでいった。

 しかし、総額では305億円という巨額公共事業に、住民グループが市民の声を聴いていないと「待った!」をかけ、住民投票の実施に向けた活動が始まった。(ちなみに、305億円と言ったら宮代町の年間予算3年分よりも多い!)

今年4月には実施を求める署名11000人分を添えて提出。市議会は住民投票条例を可決しました。で、昨日の住民投票→即日開票、となったわけです。

圧倒的に反対が多かった

結果は8割以上の人が反対。(投票率47.3%)。

市の説明によると、総事業費305億円の財源は、国の補助金46%、一般財源5%(年間の予算から)、地方債49パーセント(30年間で返済する借金)。

市長は「スポーツを活かすまちづくりの拠点として必要」と言っていましたが、市の姿勢に、市民の多くは「あれだけの巨大施設を維持管理費は次世代を苦しめる」「こどもたちに借金を残したくない」という市民の判断を下したのです。

 市民は「補助金はあてにならない。将来に借金を残すし、維持管理に費やすお金は高齢化対策、少子化対策など、今必要なものに充てるべき」という。

 一方で、どこでもそうだが、強い賛成論も根強く存在する。「景気が低迷している。設備投資して、人を集める施策は必要だ」という意見。

いずれが正しいと(わたしなど)は言えません。

が、言えることは、自治体の財政については、住民が敏感になってきたということは確かだ。建設費用に様々な補助メニューがついて有利に見える公共事業にも、最近は「建設コストよりランニングコストが重要」との判断が出てきた。

これはとても大事な判断要素だと思います。これまで主に国が出す補助金が、どれだけ地方自治体の目をくらまし、その後の維持管理費を苦しめたか・・・。たくさんの事例が物語る。

行政や、景気低迷を危惧する事業者は、どうしても補助金事業で一点突破を図ろうとするきらいがあります。これまでは、単なる傍観者だった住民がこれに引きずられる傾向にありましたが、公共投資、補助金事業の(なれの果て)をみるにつけ、税金の使われ方に住民はやっと敏感になってきたといえる。

ともすれば、行政や首長の言う「補助金は使えるんです」「地方交付税で手当てされるはず」に(それなら住民のふところは痛まない)と根拠のない安心感を覚えた住民も、これからは減価償却、維持管理、はては解体費用の膨大さに、敏感になってくるだろうと思います。


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