偶像崇拝禁止といえど [ニュースから]

2月27日(金)

貴重な遺跡を破壊

イスラム国が、貴重な歴史的遺産を爆破し、あるいは宮殿、博物館内の石像を叩き壊したり、ドリルで粉々にしているニュースに、心が痛みました。

イスラム国が壊しているのは、北部モスル。ここには古代メソポタミア文明の一つ、アッシリア帝国時代、首都として栄えたニネヴェ遺跡がある。

イラクで最も重要な遺跡の一つで、世界史をやった人なら一度は訪れてみたいところです。中東のこういったところは、まだ十分な調査、発掘が進んでなく、(そこにある)というだけで、これから読み解かれる歴史の深層に世界の関心が集まっていたところでした。

紀元前9世紀くらいのアッシリア帝国のころには、15万人が住む世界最大の都市として栄え、その後バビロニアとスキタイなどの攻撃を受けて、アッシリア帝国が滅びるまで大規模な都市空間、宮殿が存在していた歴史的に重要な拠点であったのです。歴史的価値の高い城壁は5.7マイルにわたってほぼ無傷のまま残っていました。

報復の見せしめ

イスラム国は、イラクが攻撃を行った場合、報復のため、ニネヴェの遺跡を破壊するといって警告していました。イラク北部では、断続的にイスラム国への攻撃が続いていたため、とうとう警告が実行されたのです。

映像では、老朽した古いビルの解体工事ではないかと思われるほどに無造作な攻撃です。また美しい像は、まるで失敗作の飾り物を壊すように、躊躇なくハンマーや重機による破壊に、心から(もったいない)と思いました。

文明や文化からは遠く離れた戦いに明け暮れる人たちは、報復が報復を呼ぶ日常しか目に入らなくなるのでしょうか。世界の歴史、地球上の貴重なものを壊す権利は、人間であるならだれにも与えられていないはずなのに。

銃を捨て、絵本を

イスラム教が禁じる「偶像崇拝」は、本や絵本でさえ生活の中から遠ざけています。教育といえば、暗記重視で、教員は威厳をもって、洗脳するだけ。

戦う日常しか知らないイスラム圏の子どもたち。そんな状況の中、戦乱のアフガニスタンの子どもたちに絵本の読み聞かせ、学校に図書室をつくる活動を続けてきたシャンティ国際ボランティア会が、12年目の活動を迎えた、と新聞。

開始当時は都市部にさえ、図書室のある学校は少なく、あっても倉庫に使われている状態だったということです。最初、現地の教員は「読み聞かせをする私のことを子どもたちが笑ったらどうしてくれるんだ」といったそうですが、78タイトルの絵本、19タイトルの紙芝居を、公用語であるパシュトゥー語、ダリー語版で作り、書棚と読書用の机椅子を整備した図書室を次々と整備しました。

今では、95校に図書室ができ、16万人の子どもたちが本を読めるようになっているのだそうです。

でも、図書室ができただけでは、子どもたちは本を読んでくれない。そこで、読み聞かせのスキルを含む教員研修にも力を注ぎました。

小学校の図書担当の先生は「昔はムジャヒディンの司令官として銃を持っていた。今は本をもって教えられることがうれしい。読み聞かせに抵抗があった。しかし、子どもたちが熱心に聞いてくれ、楽しそうにしているのを見て、いい活動だと思った」といっている、と記事。

子どもは、何も選べない。おとなが「いいこと」と教えたことを「いいこと」だと思い込み、生活するしかない。


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