「次世代炉」の現状視察 [ごみ行政]

7月17日(金)

2つの焼却炉

久喜宮代衛生組合が「新炉建設検討委員会」で、新たに建設する焼却炉を研究してから18年余経ちます。当時「次世代炉」と呼ばれ、全国を見ても数えるほどしか稼働していなかったガス化溶融炉。慣れないこともあり、単純なことで故障したりも・・・。

あの後、久喜宮代衛生組合が、建設地問題で立ち往生し、県内一の老朽炉を大改修してこれまで時間を刻んでいる間に、あちらこちらで「ガス化溶融炉」を造り、稼働させています。最新鋭の炉には違いないのですが、もう「次世代炉」とも呼びません。

最新鋭の炉

次世代炉と呼ばれるのは、①まず、可燃ごみを熱分解ドラムの中で加熱し、分解残差の中から金属を取り出します。②分解されたガスとチャー(と呼ばれる炭)を高温燃焼炉内で(1,300℃以上)で燃やしスラグにし、ごみでなく資源として使います。④高温燃焼した高温ガスがボイラで蒸気を発生させ、タービンを回し電気をつくります。⑤排ガス中のダイオキシン等は規制値よりはるかに低い数値で無害化され、最終処分されるものが少ない。という機能を持った炉です。(簡単に言えば、です)

昨日は、比較的近くで稼働しているガス化溶融炉を2か所視察しました。茨城県守谷市にある「常総環境センター」のキルン式ガス化溶融炉(3基で処理能力286t/日)と、千葉県流山市クリーンセンターの流動床式ガス化溶融炉(3基で207t/日)です。

流山クリーンセンターのガス化炉は、稼働後10年ほど経過しています。常総環境センターのガス化炉は稼働3年です。

無駄なものがないといわれる「次世代炉」、昨年視察した成田市のいずみ清掃工場のガス化溶融炉もそうでしたが、ほとんどのところで、②の機能、高温溶融したスラグの出口でつまづいていた。つまり、路盤材などに使えるといわれるザラメ状のスラグの使途先、売却先がほとんどない、というのが「次世代炉」の現状でしょう。

昨日も、片方のガス化炉施設では、できたスラグの、0.4%(15トン)だけが売却され、ほとんどは最終処分場行き。(処分場の覆土90%、埋め立て9.5%)

もう1か所の焼却施設の方のガス化炉施設では、できたスラグのほとんどが、県内、自地域で建材などに使われている。しかし、スラグの現状から、これなどは珍しい事例といえます。

環境省なども、この頃は、スラグ利用については無口になっているし、補助金についても少し違ってきているらしいです。

電力の方は確実につくられ利用されます。どちらの施設も施設内で使われる電力をまかなうくらいの電気は大丈夫です。まァ、できた電力は施設内で使われ,余りは売却、というほど余りはない、というのも共通ですが。(ゴミ処理施設、けっこう使いますからね、電力)

それと、ふつう、気が付かないのですが、けっこう灯油を使うのですよ。炉の立ち上げの時、炉内の調節などにかなり使いますので二酸化炭素の発生もけっこうある。

運転は、プラントメーカーだより?

一番関心を持ったのが、これら最新鋭の焼却炉施設の管理運営。片方は、プラントメーカーに運転を委託していました。ここはまず、コンサルに運営管理に係る発注支援から委託して、委託期間、委託内容を提案させ、それからメーカーに発注を決定するという・・・。つまり、最新鋭を導入したけど、プロパーの職員の手におえない。やっぱりメーカーの社員が常駐でないと管理が不安、といったところでしょうか。

(プロパーの職員のほとんどは事務所に居たり、周辺の福祉還元施設=プールや温泉施設などの管理に回ったとか・・・う~ん)

しかし、もう一方(スラグを活用している自治体の方)はちがった。中央制御室などには職員、メーカー社員半々の体制をつくっていた。つまり、運営主体はあくまで市のクリーンセンター、プロパー職員。

2つを比べてみました。後者が妥当ではないでしょうか。性能発注方式でそのあともメーカーに運転を委託というのでは、維持費用からメンテまでプラントメーカーの言うまま。維持管理の長期プランさえできません。

それでも、世の中の流れはもう、ガス化溶融炉。久喜市でこれから検討を始める新炉も、その方向性が強いのではないかと思われます。

昨日は、2か所を見ることにより、管理運営の特色から、示唆に富んだ、たくさんのヒントを得た実り多い視察研修でした。

それにしてもです。新設炉が稼働する8,9年後は「久喜宮代衛生組合」は解散している。ただお金を出して業務委託している自治体となっているであろう宮代町の議員としては、時折複雑な思いがかすめる。あーでもない、こーでもないと積極的に質問をしてはみるけど、組合議会の構成員としては、実は時限つきの身分であります。

バスの中で、視察終了の議長あいさつ。なんだか〈やとわれママ〉(たとえが古いね!)ならぬやとわれ議長みたいだなと思いながらも[もうやだ~(悲しい顔)]、元気にあいさつ[わーい(嬉しい顔)]しました。「この視察の成果を持ち帰り、これからのごみ処理行政に生かすべく、提言していきましょう」

気のせいか、久喜市議たちは微妙な顔をしていたような……。いや、気のせい、気のせい!![たらーっ(汗)] まだ、しばらくは衛生組合議員なのだから。


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