コーラルラッシュ [雑考]

11月22日(土)

コーラルラッシュ

中国船による、小笠原諸島近海などの、サンゴ乱獲が問題になっていますが、今、サンゴは空前のバブル≒コーラルラッシュに沸いているのだそうです。

その高値の影響は、外国はもとより、日本の漁業などにも及んでいるというのが、東京新聞11月16日朝刊の興味深い記事でわかりました。

サンゴに振り回されているのは、中国の密漁船が押し寄せている小笠原諸島、伊豆諸島の漁民ばかりではなく、日本の宝石サンゴの大半が取引される高知県でも、コーラル(サンゴ)ラッシュに振り回されているのだそうです。

高知県の取引高はついに年間50億円を突破しました。サバ漁からサンゴ漁に転向した漁民はそれまでの収入の3倍を手にした、との記事。

日光が届かない深海の「宝石サンゴ」において、高知県沖は、世界有数の産地です。年間0.3ミリしか成長せず、手のひらサイズにまで成長するのに800年も要する希少な生物。中でも「血赤」と呼ばれる最高級のサンゴが高知県沖に生息するそうです。

水揚げ直前まで生きていた生木サンゴは、海底で枯死した枯木サンゴの数倍の価値がある。生木で、血赤ということになるとさらに値打ちが上がる。

生きているサンゴをもぎ取る

サンゴ漁は、ナイロン製の網の根元に結んだ鎖が、海底の岩に生えるサンゴを切断するのだそうだ。潮の流れに任せて生木や枯木をひっかける。サンゴ漁の船は小さいから、波が高くなると、網が海底で引っかかった拍子に船がひっくり返ることもあるそうです。

それでも、40分ほどで引き上げると、箱いっぱいの赤、白のサンゴが取れる。1回の入札で1千万円以上が転がり込む。、サバ漁をやっていた6年ほど前と比べると、年収は2、3倍になるという転向漁師。えさも要らないし、規制があるので魚漁ほど出かけなくていい。だから家族は喜び、空いた時間で趣味の洋蘭栽培や、熱帯魚の飼育などを始めた、というのです。

サンゴの入札会

入札で一度に1千万円を売り上げる入札会とは…? 年に2回、5月と10月に高知県香南市で開かれるそうで、漁師はそれまで取りためていたサンゴを持参し、トレイに載せる。トレイが、仲買人の前を通る。仲買人は、手に取ったり、舌でなめたりして吟味するそうだ。濡らすと加工後の色に近くなるそうです。

「高知のサンゴは飛びぬけて質がいい」

サンゴブランド「Tosa」は、世界ブランド。今年2月の入札会では、1.4キロの赤の生木が4300万円になったという。10月には1キロ換算で4800万円とさらに急上昇。

10月の入札会に、はじめて、小笠原諸島の漁師3人がサンゴをもって参加し、4000万円余りを売り上げて島に帰ったそうで、あまりの高値に当人たちはぽかんとしていた。本場の相場に驚いていたようだ」と。(小笠原諸島の漁業にも影響を及ぼすようになるのか)

乱獲の影響

しかし、日本の漁師まで魚漁からサンゴ漁に転向する、コーラルラッシュ。乱獲で、サンゴの生態系に影響が出はしまいか。ところによっては絶滅にでもなったら取り返しがつかない。

 高知県漁業管理課は、「県独自のルールを作り、漁師さんにも我慢をしてもらって資源管理に努力していかなければ」と、さまざまな規制を設けている。

 高知県のサンゴ漁は許可制で限定371隻。欠員ができなければ新規参入できない。おととし3月から操業時間を日の出から午後3時までとした。それに、1、2月、6、7月は全面操業停止だ。

使用できる網も1隻につき1本、動力で引くのも禁止している。

サンゴの売り上げが町の命運

土佐清水市は、サンゴの売り上げが町の命運を左右するという。昨年度の漁業全体の水揚げ高は、26億2800万円、うち、サンゴは17億2900万円で、65.7%を占めている。

地域ブランドの「清水サバ」は、漁師が減少して、漁獲量は激減したそうです。若い人はサバ漁をしたがらなくなり、サンゴに転向し、サバを捕るのは60代の漁師だけ。

今後、乱獲により、サンゴがは枯渇したら、どうするのか。地元が将来にわたって栄えるような保護策や売り方を考えなければいけない。

とかく、目の前のことだけ

しかし、この頃は、景気の冷え込み、高齢化、財政難などマイナス要因が続くと、目の前のことを考えてしまう傾向にある。「そんな悠長なことを言っているうちに、中国船にでも取られたらどうするんだー。」とか。

しかし、です。年に0.3ミリしか成長しない、生き物のサンゴです。それを根こそぎ、ひっかけてとるなんて残酷です。中国船などは、そんな希少生物のサンゴを密漁して、値打ちの無いものを捨てているという。この記事を読んで、何とひどい話だ、と暗澹たる思いになりました。


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