八王子エコセンターでの生ごみ処理 [ごみ処理]

7月25日(木)

八王子のバイオマス・エコ・センター

八王子にある民間の生ごみ処理センターが、操業開始8か月で停止したとの報道。ここは民間会社の「イズミ環境」という会社が事業系の生ごみを請け負っている。

農林水産省の補助事業で、建設費の半分の8億7000万円を国からもらっている行政も絡んだ事業です。

息を止めたくなるほどの臭気

南多摩斎場の近くに昨年8月に操業を開始した八王子バイオマス・エコセンター。生ごみからたい肥を作るという施設です。この臭気に住民から「生活に支障があるほどのにおい」とのクレームが付き、今年4月に操業を停止している。

洗濯物や布団を干すとにおいが付く、部屋の中にも匂いが入ってくる、と言うのは気の毒です。

操業と同時に始まった強烈なにおいにたまりかねた住民がエコセンターに苦情を申し入れた。事業者は「脱臭装置を性能の良いものに変えた。中和する薬剤を変えて試している。いずれ臭気は解消される」と言っていたのですが、臭気は少なくなりませんでした。

ここの建設が始まるとき、地元説明会で事業者は、悪臭を心配した住民の質問に「匂いは出ません。そういう設計です」ときっぱりと言っていた。それが今「設計ミスでした」と。

全国で生ごみのたい肥化施設は失敗を重ねている。住民は心配して工事の延期を求めましたが、市が「手続きに不備はない」と許可し、住民の心配を引きずったままスタートした施設です。

それが案の定、足止め。4月に停止した施設は、そのままです。

大型施設では無理

ここの処理量は、日量80トン。この数字を聞いただけで「無理!!」と思いました。今までは日量20トンで操業していたということですが、これで挫折、というのでは、想像するだけで目がくらむ。

大型堆肥化プラント「大地の恵み」センターで失敗している久喜宮代衛生組合のこともあり、大きなことは言えませんが、全国の生ごみ処理で成功しているのはごくわずか。小規模であることが現状での必要セオリー。

たくさんの前例があるというのに、どうして八王子はお荷物を抱えるようなことをしたんだろう。民間施設が日量80トンもの生ごみ処理をやれるというから投げたのだろうか。

民間であるゆえ、行政の直接の責任から逃れられる、という気安さから住民説明会、住民参画を軽視したのかもしれない。無責任だ。

停止したままの施設の今後について、住民への説明会で民間会社「イズミ環境」の社長は、「社員もいる。社員の家族も生活していかなければならない」と≪トンデモ発言≫をして、暗に続行をにおわせている。

議会質問

この問題を、私も所属する自治体政策情報センターのメンバーで八王子市議(女性)が質問している。「この施設はオズマニックの前処理で悪臭は発生しないと説明していた。しかし、実際はそうではない。この近くにマンションはあるし、小学校もあるし、コンビニも公園もある。隣の町田市の議会でも問題にされた。さらに脱臭装置の出口から相当高い値のホルムアルデヒドも検出されている。他の環境確保条例に照らして、市としての見解を示せ」と迫った。

東京の多摩地域では、小規模で住民の納得できるやり方として、久喜宮代清掃センターが現在操業している小規模の消滅型の生ごみ処理施設(HDM)に注目して、これまで何回も視察に訪れている。

久喜宮代衛生組合でも紆余曲折、長い住民との対話の中でたどり着いた小規模施設だ。これだって、管内にもっと増やすのはいつになるかわからない。都市型のごみ処理で、循環型を目指すのは「言うは易し、行うはそうとうガタ、ガタし」・・。

さらなる現実は、たい肥ができたとしても、使う農家は本当に少ない。百歩譲ってタダで使ってもらえたとしても、ランニングコストが莫大になっていく、ことを覚悟しなければならない。

この少し前、藤沢市の湘南エコセンターでも、たい肥化施設が臭気で暗礁に乗り上げていた。八王子市、リサーチが甘かった。

民間に託してしまった八王子市の責任は重い、とよそごとながら思う。


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