「放射線計測の現場から」・・白岡にて [放射能]

5月13日(月)

白岡の活動グループ「たんぽぽのわたげ」

昨日(5/12)午後、「はぴすしらおか」で開催された放射能の学習会に出かけました。これは「さいたま子どもネット」の1団体である白岡「たんぽぽのわた毛」グループが実施した活動の一環です。

地域を越えて(久喜市や蓮田市、春日部市などからも)たくさんの人が集まりました。私などより一回り若いお母さんを中心とした精力的な活動には頭が下がります。

昨日も、50名ほどの方たちが来ていました。用意した資料はなくなり、資金的にも「何とかなりそう」とは代表の言葉。学習会を準備する際、手弁当の人たちの悩みの種のひとつが(開催資金)です。でも、頑張っていらっしゃいます。それに、とても参考になる、良い学習ができました。

都市濃縮

昨日の講師は、東大大学院・総合文化研究科 広域科学専攻・環境分析化学研究室の助教、つまり<計測の現場>の研究者である、小豆川 勝見(しょうずがわ かつみ)先生です。

放射能は、ほぼ東日本全域に広がり、移動し、濃縮しているのが現状です。この都市濃縮をどのようのとらえ、どう暮らしていくか、家庭での考え方、自治体の考え方、そういった基本的な考え方にたくさんのヒントをいただきました。

小豆川先生は、「私は教授でも准教授でもありません。講師の下の助教、学生に毛が生えた程度」と言います。だから(というのも変ですが)最前線の現場の話が聞けるのです。文献や権威の世界になってしまったら、現場から離れます。up to dateではありません。現場の実情も、あまりわからないのではないかと思います。

放射性セシウムは土壌とともに移動

福島市内の図書館、美術館の敷地内で、先日かなり高濃度(43万ベクレル)の数値が出たように、放射性セシウムは移動しています。放射性セシウムは土壌の粒(土埃)にくっつき、風が土埃を移動させ、雨が土ぼこりを集めます。

放射性セシウムは、風やほこりの吹き溜まり、水路などに集まってくることが多い。実は、土の表面にしか存在しないといっていい。

たとえば公園、茨城県守谷市で広域的にはかってきた小豆川先生の、ある児童公園のデータ。地上5㎝の空間線量の値で一番高かったのは、何と遊具の下。砂場など粒子の粗い土壌のところは浸透していくのでかなり薄くなる。高く出るのは、樹木の下、舗装の削れてしまっているところ、そしてブランコなど遊具の足元はへこんでいるので、雨のあとなど集まりやすい。

こういったところで遊ぶことは、普段食事に気を付けているのを無駄にするほどかもしれない、と先生は警告します。

小豆川先生は、「私は計測の研究者だから、計測から出たことしか言えない。(守屋市とは連携してやれた。かなり良くやってくれたけど)市役所は計測の技術はない。放射性物質がどんどん移動していく問題に特効薬はない。みんなが継続して関心を持つということしかない」と語っていました。原発事故がどういうことだったか、わかるのは、間違いなく次の世代だから

QA

講演の後の質問コーナーでは、1時間ギリギリまで質問が続いた。

Q ストロンチウムの数値は出てこないが A JEAも実は測定している。もともと測りにくい物質だ。ガンマー線を出さない。ちゃんと測定して公表したのは僕が初めてかも。IEAE本部のあるウィーンで計測した。〈フクシマ〉はかなり大きな事故だったが、数値はそれほどでない。放射性セシウムの100分の1から1,000分の1くらい散らばっている。

Q 紛争地域で使われた劣化ウランから出ていないか A 放射性のものは出ていない

Q チェルノブイリからは? A 出ている。日本(福島)の事故の場合は、かろうじて圧力容器が壊れなかったから(溜まってはいるが)あまり出ていないが、チェルノブイリは出ている。海にはもともとストロンチウムがある。海でいうと、ストロンチウムとセシウムの割合は1:1、陸だと1:1000くらいの割合になる。

Q 久喜市の保育園給食の(1食分まるまる測って)7.9ベクレル出た。セシウム134で、セシウム137で出ていない。おかしくないか。それと、まるまる1食分の測定に意味はあるか A 7.9ベクレルは低くない。137,134は1:1くらいで出るはずだ。その点どうなっているのか・・・。まるごと1食分というのはベターということで意味がある。ベストは、食材別々に、と、まるごと両方。

Q 今年3月4月の(セシウム)数値が高かったが、どうしてか A 風が強く,巻き上げて運ぶ季節と関係ある。約1か月後の5、6月のごみで集められ、灰で数値が高くなる傾向にある。

Q AT1320(シンチレーション)計測器の性能は A まァ、良い。今、100万円単位で、すごいのができている。イギリスのクロメック社のものなど。(自分は計測の専門家だから、ほかのことはわからない)

Q これからも家で勉強しながら暮らしていくために、参考にできる本は? A 実はない。チェルノブイリから27年、やっとわかってきたこともある。フクシマ事故から2年。始まったばかり。影響はまだわからない。

聞くこと、みんなで情報交換すること、全部栄養になる。それにしても、各地の活動、素晴らしいです。

ネットワークに感謝します。


nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。