吉川市の図書館(指定管理者)視察-① [指定管理者制度]
1月22日(土)
吉川市の図書館(指定管理者委託)
昨日、「地方政治改革ネット」メンバーは、昨年4月から<指定管理者制度>を導入した吉川市の図書館を視察しました。
宮代町は、吉川市と同じ「図書館流通センター」(TRC)を指定管理者として、今年4月から管理運営を委託することになっています。その意味では、他のメンバー以上に興味津々の視察なのでした。
この図書館は、吉川市市民交流センター「おあしす」内にあり、中核をなしています。「おあしす」の管理運営は、(株)オーエンス、(株)アイル・コーポレイション、そして(株)図書館流通センター(TRC)の3社事業体が受注しています。TRCは、この市立図書館とその分室である3施設(視聴覚ライブラリー、中央公民館図書室、旭地区センター図書室)を担当管理しています。
減り続けていた利用者が
吉川市図書館は、2,271㎡を有する施設で、「おあしす」の中核をなしています。蔵書数、潜在能力ともに高い施設であるにもかかわらず、H11年会館後、H15年から利用者は減少の一途をたどっていました。
そこに昨年4月から管理運営を任された(株)図書館流通センターが入り、昨年9月に早くも増加に転じたということです。
「TRC」社長も同席
昨日は、吉川市生涯学習課長、図書館の館長(TRC社員)、TRCチーフスタッフのほかに、なんとTRCの社長(女性です)も同席しての説明となりました。
TRC社長によると、現在「TRC」が請け負っている図書館は、北海道から九州まで全国で243館、そのうち指定管理者になっているのは118館にのぼるそうで、もちろん4月から宮代町立図書館も加わります。
TRCは図書館専門の会社です
社長、館長が言うには「TRCは、図書館専門の会社です。よく言われる<あれもこれもやる会社>とは違い、専門ならではのノウハウを持っています」と。もともと、図書館の本についている装備、加工(ラベル)付の図書を納めていた会社で、300万件本のデータを持っているのだそうです。
「民間力」はたしかにすごい
「官」にできなかったことがかなり出来ています。
まず、下の写真ですが、「市」の現況がわかる資料がたくさん。玄関に近いところにあります。
ヤングコーナーが充実している。
↓ 趣味の活動に「活動スペース」が心地よい。
↑ なんといっても「レファレンス」の充実。必ずスタッフがいます。どんな相談にものれます。
さすが 吉川市の【男女共同参画】 ↓
県南東部の市町の中で、吉川市の「男女共同参画」政策は、頭一つ抜きん出ています。それを受けて図書館でも「男女共同参画」に関する参考図書に配慮がありました。なにしろ吉川市では、女性をトップとし、女性職員が多く関わる「男女共同参画」推進チームがあって、持続的に取り組んでいます。この点は、かなりうらやましい。
たった一人の職員、それも男性で、それも2年程度で移動になってしまう「こなし」の政策をやっている宮代町とは雲泥の差です。いつも言っているんですが、宮代町は根本がわかっていない。(そもそもニーズが無い、パブコメも無い、だから一所懸命にもなれない、とおっしゃりたいのでしょうが、そもそもニーズの掘り起しが無い、パブコメも欲しがって無い、だから「やっつけ仕事」になるのですよ)
↑ 幼児図書コーナーが広い。たくさんの動物ぬいぐるみなどが、あたたかく迎えてくれる。
私が一番うらやましかったのは、「雑誌」の充実。宮代図書館にかつて置いてあった「世界」もあるし、「ダ・ヴィンチ」もある。とにかく種類が豊富。「予算が無い」「盗まれるから」と、置かない理由に行政が使う言葉は「民」の論理には無い、のだそうですよ。
新聞雑誌費は、それまで94万円だったのを、指定管理になってから、150万円に増えたそうです。図書購入費は600万円から1,150万円に。
宮代の場合、県内でも図書購入費は多かった。こういうところがあえて指定管理者に委託する場合、レファレンス機能、窓口の(笑顔)機能のアップなどが期待できますね。
閲覧席
ゆったりとした閲覧席は、ウイークディーの午後にもかかわらずくつろいでいました。TRCが言うには「男性が多い。あまり男性が多いと女性が入りにくいのがちょっと問題」なんだそうです。たしかに、サークル活動が苦手な男性陣もここなら居心地よさそう。
↑ 広い図書館をぐるっと視察したあとは、会議室で指定管理者「TRC」の説明を聞き、その後、質疑応答。
指定管理者になってから、本棚の一番上を使わないことにしたり(危ないし、実際最上段はタイトルもよく見えないから)、読書スペースを広くしたりと、配置換えも工夫した、そうです。同じ館内に子育て支援施設、生活サポート施設も併設していますので、トータルで利用しやすい。布で出来た「手作り」絵本もかなり多かった。
「指定管理者」制度をコントロールできるかが職員のセンスなのだ!
片山発言
片山総務大臣が、最近「図書館のような施設は指定管理者制度に必ずしも合うとは限らない」と発言した。実際そういう場合もある。文化の発祥の基地として機能していルところが民間に任せることにより失うものを考えた心配だが・・・。が、昨日の視察においては(今のところ)無用の心配に思える。
しかし、ほとんどの場合、「指定管理者」に管理運営を委託すると、行政の気が抜けるのは多くの場合確かなようだ。膨大な委託費を払うのであるから、行政がコントロールを利かせて、自治体の特色、センスを効かせていかなければ意味が無い。そこは職員のプロとしての「気概」の分野なのだ。
だけど、今のところ、丸投げ状態になったり、「さすが、民間はフットワークがいい」と脱帽しちゃっていないか?!
昨日も、質疑応答のところで、「結局、行政は施設管理に、これまでもノウハウの蓄積がなかったけど、これからもノウハウ、マニュアルの蓄積は無いのですかねー。いったん民間に任せたら、もう民間がたっぷり持っているからねー」なんて憎まれっ子をやってしまったのは私。いえ、いえ、たしかに他のメンバーもうなずいていたはず。
宮代でも待ってます
最後に、TRCの社長と名刺交換をした。全国で請け負った243の図書館を統括しているのは小柄でさわやかな女性社長だった。「宮代もグレードアップ期待していますよ」とお伝えして帰ってきました。
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