職員の退職金に借金対応 [行政]

団塊世代の大量退職に

宮代町の話ではありません。が、関心を持たなくてはならない話です。会報「視点」では、過去に何回か、「埼玉県市町村職員退職手当組合」(以下、「退手組合」)への負担金についてお伝えしてきました。

自治体は、職員本給の1000分の215という割合で、職員の退職金のための負担金を、「組合」に納めてきました。負担金割合は年々上がり、行政予算の中で多くの割合を占めるようになっています。

一方、収納事務、支払いなどを受け持つ「退手組合」は、団塊の世代の大量退職者、および合併に伴う「特別職の退職」への支払いで基金は底をつき、火の車状態を続けてきました。とりあえず、負担金率を上げてしのいできたという経緯があります。平成22年度は21年度同様の1000分の215という率でおさまったようですが、全額税金から負担されています。

しかし、人員削減の流れの中、負担金を払う職員人口に対して、退職金をもらう対象者の増加はアンバランスです。H25年~27年をピークに、ここ10年くらいが厳しさが続きます。

こういった地方自治体の実態は、朝日・読売新聞をはじめ、各紙が「膨らみ続ける退職金」ということで取り扱うようになっています。

退職手当債」を発行した自治体

ところが、「組合」はひたすら負担金をアップしたので一息ついたのに、負担金を払う方の自治体が追いつかなくなりました。勧奨退職など上乗せ部分の伸びもあり自治体財政を圧迫しています。そこで退職手当債の発行を余儀なくされていくのです。

退職金」のための地方債

勧奨退職の退職金に限り発行が許されていた地方債の発行、H18年からは、団塊の世代の大量退職にも発行できるようになりました。21年度補正で、「退職手当債」というあらたな借金を発行したのは、春日部市、上尾市、八潮市、三郷市、坂戸市の5市です。

春日部市、三郷市などに聞きましたところ、退職者のピークはH25年~27年くらいだろうということで、どうやらH30年くらいまでは「退職手当債」を発行し続けることになるだろうという予測もあります。

1年間に100人以上が退職(定年退職、勧奨退職)した年もある春日部市は、勧奨退職(早期に退職することで、算出割合の数字が高くなる)などに生じる特別負担金という上乗せ部分の負担が大きいです。借金、つまり起債に頼らざるを得なくなっていました。他の地方債発行自治体も同じような状況だと思います。

まるまる将来のツケ=「建設債」とは違う

しかし、住民にとっては「いいよ、いいよ」という話にはなりません。道路、下水道、施設など建設事業費などに発行する地方債と違って、将来の財産として何も残しません。次世代へただ負担として残るだけの借金です。しかも、基準財政需要額に含まれる項目ではなく、交付税措置はしてもらえません。

郷市の場合、「退手組合」に支払う負担金総額は、9億円くらいだということですが、この総額の半分に当たる額が借金です。退職金のための地方債発行額は、小難しい算定式で出されますが、三郷市は、上限いっぱい地方債を組みました。

三郷市の場合、21年度4億8900万円の「退職手当債」を21年度の補正予算を組み、22年度はとりあえず4億7000万円の「地方債」予算を計上したということです。

退職金の半分が借金、きびしい数字ですが、三郷市の場合、大規模ショッピングエリアの開発が一応成功を見ていますので、ツケを次世代に回しても大丈夫なんでしょうか?

利率は1.1%(10年)と、一番安い金利のところから借りたということです。退職金負担を借金で乗り切る地方自治体、よそ事とはいえ、無関心でいられません。

ちなみに、春日部市は、病院会計など企業会計がありますので、全部ひっくるめると、約20億円の負担金が生じます。このうち3億3000万円を21年度は地方債に頼るというのですが、他に、使途別にも「赤字地方債」「長期借り入れ」があります。

「退手組合」に電話すると

「市町村職員退職手当組合」に電話すると、どの自治体が負担金のうち、どのくらい借金(起債を組む)をするのか、こちらではわからないといいます。つまり、どういう手段でも収めてくれればいいです、という立場です。そりゃー、そうですね。聞くほうがヤボだった。


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